あの日の雪を溶かすように
「そうだな。…
いつ死ぬのか、教えてもらいたい。」
「…何で?」
「そうすればさ、何も考えなくていいじゃん。
その日までとりあえず、生きてればいいんだからさ。」
「…」
「俺さ、よく思うもん。
人ってさ、ヒーコラ働いて、金稼いで、家買って、貧乏やって…
そんで、金持ちをうらやましそうに見るだろ?」
「…」
「それってさ、寿命がわかんないからだと思わねぇ?
例えば、俺が二年後に死ぬってなったら、
死ぬほど贅沢な二年にする。
働いて、金は貯めずに、遊んで、遊んで…の繰り返し。」
「…」
「…下手に長生きするより、幸せだと思うんだけどなぁ。
年金も払わなくていいし。」
「…馬鹿だね、君。」
「…俺?
いまさらか?」