あの日の雪を溶かすように



「次の電車、終電だ。
…っと、アト10分でくるってよ。」


「…もうすぐだね。」



「じゃ、待つか。」



何本かの電車は雪を跳ねながら通過していく。

雪って、一つひとつ、すごくキレイな形をしてるのに…何だかもったいないな…



アリスがそんなことを考えていると、

…白髪の老人…

おそらくは駅員らしき人物が、
奥からゆっくり歩いてきた。


なぜだかアリスは、
彼から目が離せなかった。


それは、彼が木造の駅には不慣れな
リボンを巻いた白い箱を抱えていたからだろう。



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