あの日の雪を溶かすように



「すいません。
それって、何ですか?」

シュウが白い息を手で押さえながら聞いた。


「ぁあ、コレですか?」


老人の駅員は、紳士といったカンジの喋り方をする。


「コレはね、残念だけど、お客さんにあげるモノじゃないんですよ。
ごめんなさいね。」


「いや、そうっすか。
じゃ、彼女にでもあげるんですか?」


シュウが明らかにアリスの存在を意識して声を大きめにして言った。


「ハハハ、彼女ね。
君の彼女は、美人だね。」

「ぁ、まだ彼女じゃないっすけど。どうもっす。」


付き合うのは、退院してからって、ね。



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