あの日の雪を溶かすように
「…でも、良かったっす。先輩が無事で…ってわけでもないけど、うん。本当に。ホッとしました。」
葵は深いため息をついた。

「…死んだと、思った?」

アリスの唐突な質問に、
葵は初め、いえいえ、と首を横に振って見せたが、そのあと少しうつむいて、
小さく小さく、コクンとうなずいた。

「…ホントに、心配したんすから…。」

ポツリとつぶやいた葵は、フッと天井を見上げた。

肩が、少し震えていた。


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