あの日の雪を溶かすように



「…不思議の国の少女に宛てた、
ある少年のモノなんだよ、コレは。」

彼は笑いながら続けた。

「何年か前だったかな、立ってたんだよ。
ここに、こうして、ずっと。
…だ〜れも来やしないのに、
寒い中、ずっと…
きっと誰かに宛てたプレゼントだったんだろうねぇ」


シュウが顔を強張らせる。

「それって…」

チラッと横目でアリスを見て、
シュウは声を大にして言った。


「そのっ…!
あの…その男の子って、
今どこにいるんですか!?
わかりますか!?」


駅員は力なく首を横に振った。


「…知り合いかい?」
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