あの日の雪を溶かすように
返事をした葵がカーテンを開けると、
立っていたのは気の弱そうなメガネの男性だった。
あの時、あの「何か」を探していた男だ。
手にはメロンの入った袋が握られている。

「…どうも。」
深々と二人におじきをしてから、彼はアリスに目をやった。
「…大丈夫なんですか?」
男はかなり緊張したというか、神妙な面持ちで尋ねてきた。
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