あの日の雪を溶かすように
「君のおか…げで…!」
アリスが物思いにふけっている間、
男は思いの他ポケットに入りきってしまったプレゼントを取り出すのに
かなり苦戦していた。

「なんでもしてくれるんですか?」
アリスは苦戦中の男に言った。

「できることなら…ね!」
スポンっ!と勢い良くプレゼントは救出された。

「やっととれたよ!ほら、君のおかげで…」
「帰って下さい。」

「…え?」

「なんでも…出来ることなら何でもしてくれると
言いました。だから、帰ってください。」
うつむいたままで、アリスは続けた。

この言葉には、言われた男と葵だけでなく、
当のアリスも驚かせた。

こんなに最低なヤツって、いない。
この時ほど自分を嫌った時はなかった。

でも、しょうがない。他にどうできたっての?
あぁ、下らない。


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