あの日の雪を溶かすように
「うん。僕は専門じゃないからハッキリとは言えないんだけど…
もしこれが、例えば君の命に関わる病気だったら…
そうとは知らずに、今頃君は家でテレビを見てるかもしれない。
それを偶然、…発見できたわけだ。」

アリスは彼の言葉に何故だか違和感を感じた。
「何の病気なんでしょうか?」

「…いや、さっきも言ったけど、僕の専門じゃないから…。」
そう言って先生はアリスの質問を避けるように、また机に目をやった。
もちろん彼が動揺したのを見逃すアリスではなかった。

「じゃあ、何の病気だと、…思いますか。」

「…立場上、憶測でモノは言えないんだ。
…ただ、実を言うと、昨日ボクの知り合いの内科の先生に、資料を送らせてもらった。
でも、大変申し訳ないんだけど、忙しいのか返事がまだでね…。
直接行って診てもらったほうが早いだろう。」
医師は半ば早口で言った。

もう、その返事って、答え言ってるようなもんだ。

ふぅん、そっか、そっか。

アリスは大きくため息にも似た深呼吸をした。


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