あの日の雪を溶かすように
「何故?すべきだよ。絶対すべきだ。諦めちゃダメだよ。
今は平気だとしても、このままじゃ、君は…」

「…」

「…余命、一ヶ月、ない?」
アリスは言葉に詰まった先生の代わりに言ってあげた。もちろん、勘で。

「…そんなこと、きちんと診察を受けなきゃわからないよ…。」

「先生の予想みたいので良いんで、…教えてもらえませんか?」

「無理だよ。立場上、そんなもので余命宣告だなんて…」
医者は首を横に振ったが、アリスは彼の方をまっすぐ見つめていた。

「…お願いします。もし違ってても、何の文句も言いませんから…」

アリスは目一杯頭を下げる。自分でも何してるのかワケがわからなくなってきた。

「…教えてください。私の体、もって後、どのくらいなんでしょうか。」

医者はアリスの方を向いて、ため息をつくと、机に向きなおして話し始めた。


「いいかい?…これはあくまで僕の予想だ。
もちろん外れることだってあるだろうし、むしろ僕はそうなってほしいと思ってる。
…それに、ホントはこんな憶測で言うべきことじゃないんだ。だから、
この後すぐに専門の病院に行くことを、約束してくれるね…?」

アリスは小さく頷いた。

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