あの日の雪を溶かすように
「あっ…もしもし、葵?」

「センパーイ!!退院したんすね!!おめでとぉござぁす!!」
いきなりの、奇襲。 

「ぁあ、まぁ、一応。えっ?誰から聞いたの?」

「あの後病院に行って聞きました。んで、今から遊びいきますから。」

「あぁ……えっ!?」
アリスが拒否する暇もないほど早く葵は続けた。

「『え』っじゃないっすよー。退院を祝うのは当たり前じゃないっすかぁ!
…どうせ先輩は彼氏もいなくて、一人なんだし。」
そう言うと葵は電話の向こうで笑っていた。

「…いないんじゃなくて、いらないんだよ。つくってない。」
ボソッとアリスは呟いた。わざと葵に聞こえない程度に。

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