あの日の雪を溶かすように
えっ 

「ぃ、いやぁっ…別にそこまでは…」

「言わなきゃ。ケイタイ、ケータィ!」
葵が携帯のボタンを押し始めた。

ちょっ…

「ちょっと待って!待て待て!嘘っ!ウソウソ!嘘なんだ!
ストーカーなんかじゃなくて…ッ!」
アリスが急いで葵の携帯を取り上げる。

…電源は、ついていない。
ハッと葵の顔を見た。

「わかってますよ。先輩のウソって、やたらわかりやすいスよね。」

「えっ…。
葵、私をハメたのか?葵のくせにッ!?」

「いやぁ、先輩があのまま黙ってたら、ホントにかけてたかも、ですよ?」

「君、最近ウゼェな。」
ぼそっと言ったアリスに、葵はそーすか?と、
まるでほめられたように微笑んだ。


< 76 / 313 >

この作品をシェア

pagetop