あの日の雪を溶かすように
「前って…ぇえと、確か、帰ってくださいみたいなこと、
言った気がするな。」

「…んー、何言われたのか知んないけど、
ま、先輩らしいっちゃ、らしいですね。
うんうん。何とかなるでしょ。
それで、むこうは会いたいって言っちゃってんですし。」

「いや、何とかなるとかじゃなくて…」

       ゥインッ
自動ドアが開いた。
「ぁっ、いらっしゃいま…」

うわっ。

マジで、来たじゃん。

「おっ!久しぶり。アリスさん。
事故ったらしぃけど、ダイジョブだった?」

そこにいたのは、
確かにあの日の男、片山、だった。

しかし、前回とは少し様子が違った。

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