あの日の雪を溶かすように
アリスと葵は目を合わせた。

「…ありがとうじゃないでしょ。先輩。」
葵が目を細める。

「いや、その、一応、ね。仕事だから。」
アリスが真っ直ぐ向きなおした。
「フーッ…」
胸の高鳴りが異常なほど大きい。

 ドクンッ。ドクンッ。

葵があんなこと言ってその気にさせるからだ。

ドクンッ。 ドクンッ。

…えっ。待て待てッ!その気になんかなってないから!

 ドクンッ。ドクンッ。

…カンベンしてよ。


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