マシュマロな彼



教室までの廊下を通る。



いつもは、下駄箱で雄也くんと雪が待っていてくれるんだけど、今日はいない。



そのせいなのか、いつもよりも長く感じてしまう。



雪を好きだと言う子の視線が、鋭く突き刺さる。



昨日、涙して通った廊下。



一歩踏み出すたびに昨日の光景がよみがえってくる…………。





昨日の夕日も、恋ちゃんをお姫様抱っこした雪の後姿も……。



思い出すたびに、目に涙が溜まってくる。



泣いちゃダメ……。



やっとの事で、目から出ないように我慢するのが精一杯だ。




私の潤む目に気が付いたのか、一人の生徒が言った。



「何アレ……。泣いてない?」


その声に、他の生徒たちも私の顔を覗き込むように見てくる。







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