マシュマロな彼
「さくらちゃぁ~ん、ゆきぃ~」
突然、遠くから聞こえてきた声が、私達のピンクのラブラブ雰囲気をぶち壊した。
「おいっ……せっかくいい所だったのに……」
「あっ、その様子じゃ……上手くいったんだな!」
「ま、まぁ……」
私の隣で声の持ち主、雄也くんにからかわれてまた赤くなった雪。
そんな雪を見ていると、なんだか不思議な感情が心の底から湧いてくる気がした。
なんていうか……、雪を見ているだけで和めて…優しくなれて……。
そう、“愛しい”という気持ち…。
そんな気持ちは経験した事がないけど
きっと愛しいとはこういう事をいうんだと思う。
八枝 桜……。
私は今日、生まれて始めて愛しいという気持ちを知りました。