マシュマロな彼
・初めての……
――――ジャンジャンジャン………
「……ん、朝?」
寝る前にセットしておいたケータイのアラームが
まだ日の上がりきっていない部屋に響いた。
まだ春なのに、部屋の中は肌寒く、体がぶるぶると震えてしまった。
待ち受けに出ている時刻を見ると 5:00 の数字。
いつもはこんなに早くには起きないんだけど……。
一つ背伸びをしてベッドから降りた。
ヒンヤリとした床。
家の中から物音一つしない事から、まだ誰も起きてないんだって事がわかった。
その方が、いいもんね。
だって、この事がお兄ちゃんにでもバレたら何言われるかわかんないもん。
キーッ
古くなって少し音のするリビングのドアを開け、あたりを見回す。
そして、足音をたてないようにキッチンに立った。
ここからが時間との勝負。
長い黒髪を後ろで一つに束ねて、作業を始めた。