マシュマロな彼
「まっ、頑張れよ」
そんな事を言いながら、お弁当に入りきれなくて残ったエビフライ
……らしき物を口に運んだ。
「んー。まぁ形のわりには味はいいな」
そう言って、にこっっと笑うお兄ちゃん。
同じ血筋だからあまりかっこいいとは思わないけど
お兄ちゃんはちょっとかっこいいらしい……。
そんなお兄ちゃんの笑顔は、とっても貴重。
褒めているお兄ちゃんなんて……天然記念物なみだよ。
そんな…………めったに褒めないお兄ちゃんが……ニコって笑って褒めてくれた……。
それだけで、今日雪降るかも……なんて思っちゃったり。
「それより桜、時間いいのか?」
「えっ?今何時!」
「ん、6:30」
「うっそ~…。遅刻じゃん!」
時間にルーズなせいで、いつも朝は家の中をバタバタするはめになる。
それは、今日も明日も同じよう………。
まぁ、今時の女の子みたいにお化粧に時間をかけたりなんかしないから
その分ゆっくりできるけどね。
「じゃぁ、行ってきます!」
「おぉ」
そんな風にあわただしくしながら、履きかけの靴で家を出た。