マシュマロな彼
雪や雄也くん以外の人とは、必要がない限り話したりかかわったりしない私。
後ろから聞こえてきたのは、明らかに私に向けて発せられた女の子の声。
周囲の女の子は、嫉妬というか、なんなのか……。
私のことを無視…というより、ないものにしようとしている気がする。
それが1番キツかったりする……。
そんな私に今更何の用なんだろうか…。
私は、怖くて振り返れなかった。
だけど……チラッっと見た雪と雄也くんが優しく微笑んでいるのが見えて
大丈夫なんだって思った。
だから
「…………おはよう」
ゆっくりと後ろを向いて、ちゃんと目を見て言えたかわからないけど
あいさつをした。
その後の反応が怖くて、ギュッっと目を瞑ってその場の空気に耐える。
別に、人とかかわるのが怖いわけじゃない。
ただ、面倒臭いとかいろんな理由をつけて、人とかかわる事から逃げてきたんだ。
楽なほうに行っていたんだ。
だけど、故意ではないといっても周りと距離を置いていただけ
周囲の反応が怖かったりするのも事実で………。
だから………。
「さくら?目…開けて?」
急にふわっと甘い香りに包まれたと思ったら、耳元で雪の声がした。
両肩には、暖かい重み。
雪が私を抱きしめていてくれている………。
それだけが、私を暖めてくれる。
雪の言葉を信じて、私は固く瞑っていた目をゆっくりと開けた……。