マシュマロな彼
え……。
目の前には、さっき私にあいさつしたと思われる人……。
てっきり何か言われるんじゃないかと思っていた私は
その人の表情を見た瞬間固まってしまった。
だって………、だって……。
「えへ。ビックリした?私……姫香」
だってその人とは、いつも恋ちゃんや果奈ちゃんと仲良くしている
姫香ちゃんだったから。
しかも、いつも恋ちゃん達と一緒にいる時のような、柔らかい笑顔をわたしに向けていた。
「え…?」
なにがなんだかわからない。
恋ちゃんは、雪の事が好きなはず……。
だったら、雪の彼女である私は恋ちゃんにとって邪魔な存在でしかない。
それなのに、そんな私になんでこんなに優しく微笑んできたりするのだろう…?
何かの作戦?
恋ちゃんに何か言われてきたの?
恋ちゃん…という言葉は、私の中ではマイナスイメージしかなくて
ついついそういう考えばかりになってしまう。
そんな私の頭の中をよんだのか、姫香ちゃんは慌てて首を大きく横に振りながら言った。
「こ、恋ちゃんは関係ないよ?
この前は……、私もビックリしたし……。
とにかく、私が桜ちゃんと話したかっただけっ!」
そう言って笑う姫香ちゃんに、ウソなんて全く感じなかった。
なにより、雪と雄也くんが微笑んでくれているのを見て
もう大丈夫……そう思った。