マシュマロな彼
「桜~、早く座れよ」
「う、うん」
皆の視線で、止まっていた足。
だけど、雪の一言で止まっていた時間が動き出したように、足が動き出した。
「いや~…。なんていうか、ビックリしたよ」
席に着くと、にこにこ笑っている雪の後ろの席から、雄也くんが少し身を乗り出している。
その顔は、眉を少し垂らして困っているよう………。
「まぁ……高校デビュー?」
何があったのかと興味深々で見てくるクラスメイトの視線を
避けようと少し俯く。
恋ちゃんが、友達と何かこそこそ言っている様だけど。
そのことに雪は全然気付いていない。
だけど、雄也くんはもう気付いているようだ。