マシュマロな彼
「おら~、授業始めるぞ~」
結局、その後教室に先生が入ってきて、皆の視線は教壇へとむけられた。
手元にある黒い出席簿を手に1人ずつ名前を呼んでいく先生。
だけど、その視線は手元に落されたままで、生徒の顔なんてちっとも見ようとしない。
まぁ、それはいつもの事。
名前を呼ばれ、いつものように小さな声で返事をしながら外を見た。
窓から見える桜の木には、青々とした葉っぱが茂っていて
この前までに見せていた、優しそうな感じはまったくしない。
今は、どちらかというと力強い感じ。
………あれ?
桜の木をよく見てみると、なにか黒い物がチラッっと見えた気がした。
目をよく凝らしてみると、それは長くて時折動いて………。
どうやら人間らしい。
私以外にもあの桜の木が好きな人もいるんだ……。
そう思って嬉しくなる自分がいた。