マシュマロな彼
伸ばした両手はおろおろとするばかり。
何度も何度も宙を切っている。
え、えぇい……。どうにでもなれーっ。
ぎこちなく…、でも確かに雪のぬくもりを感じた。
「桜?」
ふと雪の声がして、そのまま顔を上に上げるとビックリした様な顔があった。
あれ……?あれれ…。
もしかして…さっきのって、冗談だった…とか?
雪の顔を見る限り、そうらしい。
「恥ずかしんだからこっち見ないでぇ…」
抱きついている恥ずかしさより、冗談を本気にしてしまった恥ずかしさが上回った。
雪の顔がボンヤリと歪んで見えるのは、きっと目に浮かんだ涙のせい。
しかも、私………なんか変。
体中が心臓になったみたいにドクドク言ってる。