マシュマロな彼
「も~っ、知らないよ」
被っていた布団を雪に投げつけ、イスから立ち上がった。
頭の上が引っ張られるような感覚がして、触ってみると髪の毛が静電気で逆立っている。
あ~…もう…。
ふいに鏡に映った自分に目を向ければ、真っ赤な顔でボサボサの髪の毛。
それに加えて、口はアヒルみたいに尖がっちゃってる。
……なんだこれ。
いつもポーカーフェイスの私も、雪といるときは表情が豊になってしまうらしい。
だって、前まであからさまに口なんて尖がらせなかったし……。
いい事なんだろうか……?
そんな事を思いながらも、まだクスクス笑っている雪を見下ろし、口からため息を吐き出した。