マシュマロな彼
最近の雪は、以前よりちょっと大人っぽくなって、またちょっと可愛くなった。
まぁ、それは私だけが思ってるのかもしれないけど。
「さ~くら!!何ぼんやりしてんの?」
雪への思いにふける私の目の前に、雪の顔がドアップで飛び込んできた。
「ひゃっ!!も……、ビックリさせないでよね」
「ふふ…っ、桜照れてるの?顔真っ赤になってますけど?」
「な、何よ~!!」
フフンフン…とよく分からない鼻歌を歌いながら、リズムよく左右に揺れる雪の体。
それと一緒に、ピョコンピョコン揺れるチョンマゲに心がきゅんとなる。
最近、前髪をアップにするのが雪の中で流行ってるらしい。
アップにするのは私の毎朝の仕事。
雪が動くもんだからなかなか結べないのが現状だけど、私だけが出来る事だから嬉しくてたまらない。
「も~…、チョンマゲが当たるって。それ結構邪魔じゃないの?」
「ん~…、邪魔かも」
「は……?じゃあなんでわざわざすんのよ」
「だってぇ、桜に結んで欲しかったんだもん」
きゃあ……、嬉しい、嬉しすぎるよ…。
そんな気持ちを悟られないように、声を押し殺しながら胸に手を当てる。
心拍数、やばい。