マシュマロな彼




「でも、桜が他の人に見られるのって嫌だな―…」


「誰も私の事なんか見てないって」


「あっ…今、あっこの渋いお兄さんがチラ見した!!」


「気のせいだから~」



さっきから、周りをキョロキョロしてる雪はなんだか不審者みたいだ。


そんな事してたら、逆に目立っちゃうの雪はわかってないのかな?



「まぁいっか、それより海に入ろうよ」


「え…あっ、ちょっと待って~!!」


「わぁぁぁぁぁぁ」



バッシャーン!!



「冷たいよ~」


「すぐ慣れちゃうって、桜~見て見て!!ワカメだ」


「ぶは……!!何やってんのよもー…」



雪に手を引かれて飛び込んだ海は、思いのほか冷たくてちょっと身震いした。


だけど、波は穏やかで今日は絶好の海水浴日和らしい。



「こんにちは、ジョンレノンです……なんちゃって」



浮いてたワカメを頭にかぶった雪は、エアギターで歌いだした。


メガネはないものの、ちょっと似てるかも……。





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