マシュマロな彼




海の家は、夏だけ建っているもので粗末な作りだけど、人はいっぱいいて大盛況。


今は、中途半端な時間だから人が少なかったおかげで、なんとか席を確保できた。



「桜、カキ氷…何味がすき?」


「ん――…、メロンかな」


「お姉さん、メロンとイチゴのカキ氷くださ~い!!」


「はいはぁーい…、ふふふ…可愛いからシロップいっぱいかけてあげるね」


「ラッキー!!ありがと」


かき氷を作るお姉さんは、雪の事が気に入ったらしくシロップをいっぱいかけてくれた。


なんだか得した気分で嬉しいけど、雪ってやっぱり可愛いんだな――…なんて改めて思っちゃう。



1人、雪の可愛さに惚れ惚れしているとカキ氷を両手に持った雪が小走りでこっちに向かってきた。


あぁ……可愛い。



なんか普通、彼女がこんな感じになってるときに彼氏が「可愛いな~」なんて思うんだと思うけど……、まぁいっか。



「おまたせ~」


「ありがと、雪」


雪からカキ氷を受け取ろうと出した右手は、何故か物に掠りもしないで宙を切った。


「え……?」



何かと思えば、雪は意地悪そうな顔をして私を見下ろしてる。



この顔……、何か企んでるな。





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