マシュマロな彼
「な、なに?」
「むふふ」
意味深な笑みを浮かべる雪に、心臓がドキリ…っと高鳴るのがわかる。
夏の暑さで、かき氷は少しずつ溶け出していたにも関わらず、雪は相変わらず……。
「ゆき!!早くしないと、溶けてるよ〜」
「だ〜め。桜は具合が悪いんだから……」
伸ばした手は、またもや宙を掴んでしまった。
もう……っ。
なかなか、かき氷をくれない雪にぷーっ…っとほっぺたが膨れる。
そんな私を見てニヤリ…と笑った雪は、耳元に顔を近づけると……
「……は?絶っっ対イヤ!!」
「だって、桜は病人なんだからね?」
そういって、無邪気なかわいい笑顔を向けた。
それは、夏のギラギラ太陽にも負けないくらい輝いてて……意地悪。
これ以上何を言っても無駄だと分かっていたから、仕方がなく雪の言うとおりにした。