マシュマロな彼
「だって私達まだ高校生じゃん!?入れるわけ無いよ」
「だ~いじょうぶだって。私服なんだからわかんないよ」
「そ、それは……」
「なんにもしないからっ!!」
「あ、当たり前じゃん!!なんかしたら訴えるから」
ちょっぴり強引な雪に手を引かれ、自動ドアの向こう側の未知の世界へと足を踏み入れた。
すっごく恥ずかしくて俯いていると、雪はテキパキとして何かをしている。
余裕が無い私とは大違いだ。
「さくら~?いこっ」
「う、うん」
雪の大きな手に引かれ、エレベーターに乗り、指定された部屋の前に来た。
ここまで来るのに、一度も顔を上げてない。
何もしないはずなのに、後ろめたい気持ちでいっぱいだ。
――――ガチャ…
鍵の開く音がして、私は部屋の中へと吸い込まれるように入った。