マシュマロな彼
遠くの方から聞こえていた声は、だんだん大きくなり、恋ちゃんがこっちに近づいて来てるんだって事が伺えた。
そしたら、隠れる必要なんて、まったくないんだけど反射的に個室の中に隠れてしまった。
その間にも、恋ちゃんはトイレにどんどん近づいてきて、ついには入ってきてしまった。
一番奥のトイレに入っている私に気付いていないのか、いつもより少し声のトーンを下げて、凄い事を話し始めた。
「カナぁ。私ね、恋しちゃったみたいなのぉ」
恋ちゃんの甘ったるい声がトイレのタイルに反響した。
「えぇ〜!?テルくんはどうしたのぉ?」
いつも一緒にいる可愛い系の女の子が言った。
テルくんって事は、男の子だよね。
恋ちゃんの彼氏かな?
人の恋バナ…、凄く気になって仕方がない。
私は、こっそりドアに耳を当てながら聞いてみることにした。
「あぁ。テル?あんなの要らないよ。カナ達にあげるぅ」
「えぇ〜。テルくんってメッチャかっこいいのに。なんでフッちゃうの?」
私、テルくんって人知らないけどなんでフッちゃったのか……、凄く気になる。