マシュマロな彼
てっきり気まずい雰囲気になると思ってたけど、そうはならないみたいで、
雪はフフン…と鼻歌を歌いながら、ベッドの上をゴロゴロと転げまわっている。
そんな雪につられて私の緊張も、徐々に解けていった。
「ねぇ桜、親に連絡しないでいいの?」
「あ―!!ん……、今からする」
ケータイの画面には、「新着メール」の文字があり、慌てて読むと送り主は姫香だった。
【サクラ~楽しんでる?明日は、10時に駅集合ね】
「あ~!!明日、ライブがあるんだった!!」
うにゃうにゃだった頭の中に、姫香との約束が浮かび上がった。
「ライブ?大丈夫だよ。早めにここ出れば」
慌てる私とは違って、冷静な雪はそういうと、てくてくと冷蔵庫まで行き中からお茶を取り出した。
「ほい、どーぞ」
「ありがとう」
ヒンヤリ冷たいお茶を喉に通すと、頭の中が冷静になってきた。
今日は、楽しめばいいよね……
<お母さん
【今日は、友達の家に泊まるね。急に決まってごめんなさい】
姫香にもメールを送った後、パタン…とケータイを閉じた音が部屋に響き渡った。