マシュマロな彼




「おぉ~い、さぁ~くら?」


「…………」


「さぁ~くぅ~らぁ~ちゃん?」


布団越しに雪のくぐもった声が聞こえてきた。


一瞬、こうしたままでも仕方が無いので顔を出そうかと思ったけど、さっきの光景が頭の中に浮かんできて……


「………っ」


首を左右に振りながら、さらに深く潜った。



だ、だってぇ~!!

雪の顔も見れないくらい恥ずかしくって恥ずかしくって……。


ドキドキ高鳴る心臓が苦しいくらい。



私…、今日で寿命が5年は縮まっちゃったかもしれない…って程。




「桜~いい加減顔出してよ」



ちょっといじけた雪の声に、仕方が無い……そう諦めて顔を少し出すと、パチッ……と目が合った。


その瞬間、顔が熱くなっていくのが分かって、もう一度布団に潜ったけど雪が布団を剥ぎ取ったせいで


私はもう隠れる事ができなくなってしまい、残った両手でしっかりと顔を覆った。





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