マシュマロな彼
●ライブ
・再び
「―――…くら、さ~くら?」
遠くの方から、聞き覚えのあるちょっと高めの声がする……。
この声は……雪の声。
「桜ってば!!今日は、約束があるんじゃなかった?」
約束……約束……約束っ!!
「はっ!!今日、姫香とライブに行くんだった!!」
勢いよく飛び起きると、目の前に雪の顔があって……
『……ゴンッ!!』
「やぁ~~~…、いったい」
「うぅ…、桜の石頭ぁ~」
見事に私のオデコと雪のオデコがぶつかった。
それでも、涙で歪む視界をよく凝らして時計を見ると、時間は今から用意して約束の時間に間に合う、ギリギリの所だった。
「うぅ~~~っ」
おそらく赤くなっているであろうそこを擦りながら、ベッドの上でまだ「痛い~」と言っている雪を尻目に
テキパキと用意し始めた。