マシュマロな彼





「先生、いないみたいだね」



雪が抱っこされたままの私を見下ろしながら、ニヤリと笑った。


背中に変な汗が流る。


「雪っ。もう大丈夫だから教室に戻ろ?」



保健室から早く離れたくていった言葉は、雪には届いていない。



私を抱っこしたまま、どんどん保健室の中へと移動して行く。




「さくら」



雪の甘い声で体が金縛りにあったように動かなくなった。


私はいつの間にか、ベットの上に下ろされていた。


ふかふかとした保健室のベッドは、心地いい。



聞こえるか聞こえないかのくらいの声で私の名前を呼ぶ雪。




ドキッ………。



不覚にも胸がときめいてしまう。



顔に影がかかると同時に、雪の顔がだんだん私の方に近づいてくるのがわかった。




キス、される……。


反射的に、ゆっくりと目を閉じた。






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