優しい歌 ※.。第二楽章 不定期亀更新
僕は望まれて生まれて来たの?
お父さんも
僕が大切だったの?
僕は疎ましくなかったの?
静かに僕の隣で涙を流す母親。
またゆっくりと映像が変わっていく。
……何処……。
何かの乗り物の中。
今のお父さんの傍で、
点滴をぶらさげたまま眠ったままの僕。
その隣でお父さんは、
ずっと僕の手を握ってくれてる。
あれ?
お父さんが手にしてるのは……お母さんの写真。
僕がお父さんから貰った、
僕の知らないお母さんの写真。
その写真をみながら……泣いてる……。
*
お父さんは、お母さんのことを
ずっと愛し続けていたのですか?
*
『お母さんは……恭也さんに助けられて、
でも助からなかったけど……
だけど本当に嬉しかったの。
最後の最期に恭也さんと再会出来たから。
お母さん、素直になれたわ。
真人をお願いねって頼んだの』
「お父さんは、
お母さんの傍に居てくれたの?」
『えぇ、傍にいてくれたわ。
真人のことも任せなさいって
私に話してくれた。
貴方のことをお願いできる人は
恭也さん以外にいないもの。
でも私のせいで恭也さんも
恭也さんの家族も
真人も皆、苦しめてしまったのね』
「お母さんの気持ちがわかったから。
もう僕、何も言いません」
『あらあら、貴方とずっとお話していたいけど、
そうも行かないみたいね。
ほらっ、あちらをごらんなさい』
病室のベッド。
僕が眠り続けるベッドの周りには
僕の知ってる人たちが集まってくれてる。
病室のソファーで祈り続ける瞳矢。
*
瞳矢、僕を捜しに来てくれたの?
こんなに遠いところまで。
*
瞳矢の傍で頭を垂れて座り込んでいる飛鳥。
*
飛島、どうして俯いてるの?
*
もう一つのソファーには、
僕の昔馴染みのクラスメイトの直澄の姿。
*
直澄、会いたかったんだ。
ちゃんと生きてくれてたんだね。
*
僕のベッドサイドに座っている冬兄ちゃん。
*
……冬……兄ちゃん……。
瞳矢と一緒に来てくださったんですね。
*
『真人、帰ってきたわよ』
お母さんの言葉と同時にお父さんと冴香小母さん、
そして咲夜が病室に入ってくる。
お父さんたちは真っ直ぐに僕のもとへと訪れる。
冬兄ちゃんがすぐにお父さんに席を譲る。