優しい歌 ※.。第二楽章 不定期亀更新
「答えろよ。瞳矢!!!」
「…………」
「あいつなのか?
アイツが入学してから、おまえの様子がおかしくなった」
……違う……。
その前からずっと様子がおかしかった。
「真人のせいじゃない」
辛うじて声にすることが出来た言葉。
「もういい!
聞きたくねぇよ。
瞳矢、明後日のコンクール本選は来るんだろ」
飛島の声にボクは頷いた。
「本選……俺と瞳矢の勝負になりそうだな。
お互い、良い演奏をしような」
「そうだね。
悔いのない演奏にしようね」
ボクは微笑みと共にその言葉を告げる。
それはボク自身に言い聞かせるための言葉。
それは浩樹の為に発する言葉。
そして未来に繋げる一筋の希望。
大丈夫。
ボクは、ゆっくりと自分の現実と向き合っていくから。
だから今は……
最後の夢を見させて。
コンクール本選で無事に演奏が出来るように。
それがピアニストを夢見るボクの最後の願い。