優しい歌 ※.。第二楽章 不定期亀更新
「瞳矢は今どうしたいの?」
「今はコンクールまで指が動いていて欲しい」
「そうだね。
なら家族皆で瞳矢の指が動くように祈ってようね。
だから一緒に頑張ろう。
弱音を吐きたくなったら、いつでも僕に甘えていいから。
お義母さんや和羽には言いにくいこともあるだろうしね。
瞳矢が挫けそうになる心を僕は精一杯受け止めるから」
「……うん……」
その日、僕は瞳矢と話す時間をゆっくりと作った。
大切なコンクールを目前に控えた夜。
瞳矢の心が少しでも穏やかに満たされるように。
翌日、また僕はいつもの日常に戻る。
現実(いま)を精一杯歩き続けること。
その命と正面から向き合うこと。
それが僕に出来る唯一なのかも知れない。
時の歯車はまわり続ける。
秒針が常に時を刻むように……。