30分の待ち時間
<真に恐縮ですが、私情により閉店させていただきます。
長らくのご愛好、ありがとうございました>
……予想通り。
「スズ!」
「何!?
いきなり大声出して」
「駄菓子屋あるって言ったくせに、閉店しているじゃねーか!
出会って数分の俺に嘘つくとは、どういう神経しているんだよ!」
「はぁ!?
何でそんなに怒っているわけ!?
大体、遠くから見て一目瞭然でしょ?
どう見たって閉店していそうじゃないの。
それを勝手に嬉しがって、駄菓子屋行こう駄菓子屋って盛り上がったのはそっちでしょ!?
何であたしが怒られないといけないのよ!
あたしは嘘なんてついていないし!」
「じゃあ一言言えば良かっただろ!
駄菓子屋あるみたいだけど、もしかしたら閉店しているかもって!」
「そんなの自分で見れば良いでしょ!
あんたに目は存在しないの!?」
「あるよ!
スズはわかんねーのかよ!
俺の目がどこにあるのか!
スズこそ目が存在しないんじゃねーのか!?」
「あるわよ!
ここにパッチリふたつ目がね!」
「自分でパッチリとか言うな!
ナルシストかよ!
大体自分でパッチリとか言う女、初めて見たわ」
「あたしも初めて見たわ。
駄菓子屋って言葉だけで嬉しそうに向かって行く、太一みたいなお気楽男子をね!」
「お気楽って酷くねーか!?」