30分の待ち時間







「そういやお前さんたち。
みかん、食べて行くかい?」


「「みかんっ!?」」




思わず2人してハモる。

みかんはあたしの大好物!



「「喜んでいただきます!」」


「本当似ているのぉ。
ちょっと中に入って座って待っていなさい」


「「お邪魔しまーす!」」




中に入り、1個段差を上ったところに腰かける。

中はクーラーや扇風機などの冷房器具は置いていないけど、不思議と暑いと思えなかった。

気温は多分外と変わらないだろうけど、中の方がやっぱり涼しい。

太陽が当たっていない分、暑いって思えないんだろうなぁ…。




「ほれ、みかん」


「「ありがとうございますっ!」」



あたしたちはおばあさんの両手に乗っていたみかんを1つずつ貰い、皮を剥いていく。

みかんなんて冬にしか食べないから、久しぶり。



「あれ?
スズは白い皮剥くのか?」


「いや、剥かないよ。
太一は剥くの?」


「俺も剥かない。
面倒だからそのまま食べちゃう」


「あたしも!」




お互い外側の皮だけ剥いて、口に放り込んだ。

そして同時に、嬉しさを叫んだ。









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