30分の待ち時間
歩きながらみかんを食べる。
みかんは冬の果物だけど、今の季節に食べても良いかも。
新しい発見しちゃった。
「スズもみかん好きなのか?」
「好きだよー!
果物の中で、いや…食べ物の中で1番好きかも!」
「俺も一緒」
にっこりあたしを見て笑う太一。
そこで初めてあたしは、太一の顔を見た。
ずっと見る機会はあったんだろうけど、帽子でよく見えなかったから。
帽子からはみ出す茶色い髪。
二重の大きめの瞳。
全体的に顔立ちは整っていて、きっとイケメンの分類に入るだろうな。
真夏の太陽みたいな笑顔も、明るい太一に似合っている。
「……スズ?
どうした?俺の顔何かついていたりする?」
「ううん。
太一って結構イケメンなんだね」
「そう?
スズも結構可愛いと思うけど」
再度ニコッと笑った太一は、ふと足を止めた。
そして、ニヤーッとした怪しい笑みを浮かべた。
「スズ、行くぞ」
「どこに?」
「良いから黙って俺についてこい!」
プロポーズかよ!
そう突っ込みながらも、あたしは走り出した太一について行った。