30分の待ち時間







歩きながらみかんを食べる。

みかんは冬の果物だけど、今の季節に食べても良いかも。

新しい発見しちゃった。





「スズもみかん好きなのか?」


「好きだよー!
果物の中で、いや…食べ物の中で1番好きかも!」


「俺も一緒」




にっこりあたしを見て笑う太一。

そこで初めてあたしは、太一の顔を見た。

ずっと見る機会はあったんだろうけど、帽子でよく見えなかったから。




帽子からはみ出す茶色い髪。

二重の大きめの瞳。

全体的に顔立ちは整っていて、きっとイケメンの分類に入るだろうな。

真夏の太陽みたいな笑顔も、明るい太一に似合っている。





「……スズ?
どうした?俺の顔何かついていたりする?」


「ううん。
太一って結構イケメンなんだね」


「そう?
スズも結構可愛いと思うけど」



再度ニコッと笑った太一は、ふと足を止めた。

そして、ニヤーッとした怪しい笑みを浮かべた。





「スズ、行くぞ」


「どこに?」


「良いから黙って俺についてこい!」





プロポーズかよ!

そう突っ込みながらも、あたしは走り出した太一について行った。








< 18 / 69 >

この作品をシェア

pagetop