30分の待ち時間
「みかん食べながら歩いているとき、看板あったの気が付かなかった?」
「看板……?」
「そう。
ここから海近いよって看板」
「あったの!?
全然気が付かなかった……」
「海行きたくなったから来たんだ。
でも来てみて正解!
夏だけど誰もいねーし。
俺らの貸し切り状態じゃん!」
「夕方だからね。
もうそろそろ皆帰る時間なのかな?」
と言っても、サーフィンする人もいない。
あたしたちの貸し切り状態だ。
「俺海はいるけど、スズは?」
「あたしは…手だけ!」
鞄を砂浜に置いたあたしたちは、波打ち際へ向かって行く。
そこで太一は靴と靴下を脱いで、海の浅い場所へはいっていく。
あたしはしゃがみ込んで、海の中に手を突っ込んだ。
「「冷たーい!」」
「…………」
「…………」
「「……プッ」」
あたしたちは一緒に吹きだし、笑いだした。