30分の待ち時間
「何かさっきから、俺らハモること多くね?」
「ねっ。
おばあさんからみかん貰う時もハモっていたし」
「気が合うんじゃね?俺ら」
「アハハ、そんなわけないし」
「……ひでー。
少しぐらい肯定してくれよー」
「えー?
同じことを思って、同じことを口にすることが多いんだってことは認めるけど」
「それ、気が合うって言うんじゃね?」
「えっそうなのかな?」
「まぁー良いか、細かいことは!
スズ、俺の帽子持ってて」
帽子をあたしの方へ投げる太一。
あたしは受け取った…のは良いものの。
「あーっ太一!
あたし、海に手をいれてビショビショの手で掴んじゃった!」
「何しているんだよーっスズ!」
「あたしへ投げる太一が悪いんでしょ!?」
結局あたしたちは海から離れて、砂浜に座った。
太一の濡れてしまった帽子は、太一の鞄の上で干されている。
「あー、夕焼けって良いなぁ…」
「本当。
普段こうして眺めることってないもの。
こうしてぼんやり眺めるのは久しぶり」