30分の待ち時間
☆☆☆
波が行ったり来たりする音が、静かに響き渡る。
さっきよりも太陽は海に沈んで見えなくなっていた。
「……あたし、最低だよね。
海先輩からも、葉月からも、毎日からも逃げ出して」
話しながらあたしは泣いていた。
最近の出来事で、よく眠ることが出来なくて。
快速電車で帰っていたけど、各駅停車を選んで帰っていたりした。
のんびり流れる景色を眺めていると、忘れることが出来ていたから。
家にいても学校にいても、思い出してしまう。
あたしと葉月は幼い頃から仲が良いから。
お互いの家にお泊りしたことや、一緒に近所の公園で遊んだことや、廊下で色々お喋りしたことなど、思い出が色々な場所に溢れている。
だからふとした瞬間に思い出して、あたしが葉月に何も言えずにいることを考えてしまうんだ。
それなのにあたしは、葉月に何も言えていない。
可愛くて性格も良い葉月に、戦いすら挑まなかった。
無理だって諦めていた。
敵いっこないって自ら気持ちを抑えていた。
最低だ。
葉月は可愛くて性格も良くて、自慢の幼馴染で親友の葉月に、何も言わないのだから。
スマホは電源切れていて使い物にならないけど、電源が切れる前は葉月からメールとか何回も来ていた。
…心配、かけちゃっているんだ…あたしは。