30分の待ち時間
すると部屋の中から兄貴が出てきた。
「あ、紹介するよ。
オレの弟の、太一。
今小学5年生なんだ」
「……」
「太一、挨拶ぐらいしろ。
母さんにいつも言われているだろう?」
「……知らねっ」
「太一」
「俺は兄貴と違うからさ!
兄貴みたいにしっかり挨拶とか出来ねーよ」
プイッとそっぽを向くと、女子3人のうち2人が話しだした。
「なんか、雷一くんと似ていないね…」
「うん。
雷一くんは優等生だけど、弟くんはどっちかと言ったら、問題児って感じ?」
別に構わなかった。
兄貴と比べられても。
いつものことだから。
「ちょっと2人とも。
太一くんに失礼でしょ?」
黙っていた1人が、2人に言った。
大きな瞳が印象的な、美人に分類されそうな感じの奴だった。