30分の待ち時間
それから俺は、同級生に「兄貴と違う」って言われても、
親に「お兄ちゃんを見習いなさい」と言われても、
気にしないでこれた。
今まで抱いていた劣等感も、自然と消えていった。
俺は俺のままで良い。
兄貴にはない俺の良さが、ある。
…透子がそう、教えてくれたから。
それから俺は透子が家に来る度、一緒に遊んだ。
「悪いな透子。
太一がいつも遊べってせがんで」
「別に良いのよ、気にしないで雷一くん。
太一くんって、一緒に遊んでいると楽しいんだよ?
その上子どもって体力あるでしょ?
一緒に遊んでいると、体力つく気がするんだ」
「あっ、確かに透子、この間の50メートル走、前よりタイム縮んだとか言っていなかったっけ?」
「うん!
それってきっと、太一くんのお蔭だよ!」
俺は気がついた。
きっと透子に恋しているんだと。
「透子!行こうぜ!」
「待ってよ太一くん!早いんだから!」