30分の待ち時間
だけど透子はそれから間もなく、父親の仕事の都合とかで海外へ行ってしまった。
透子が引っ越す日は兄貴と一緒に見送りに行った際、思わず泣いてしまった。
それから5年後。
俺は家から近い高校へ進学した。
「そういや知っているか太一。
この間から担任休んでいるじゃん?」
「あー、産休だっけ?」
「そう。
それで今日から、臨時の担任が入るみたいだぜ!?」
「ふーん」
「つれねぇなぁお前」
「しょうがねぇじゃん。
太一には、忘れられない幼馴染チャンがいるんだよ」
「あー、太一の初恋だっけ?」
「……うるせっ」
久しぶりに思い出した、透子のこと。
元気にしているかな…?
そんなことを考えていると、教室の扉が開いた。
見知らぬスーツ姿の女性が入ってくる。
俺はその姿を横目で見て、息を飲んだ。
「……とう、こ…?」