30分の待ち時間






にしても30分間、どうやって時間を潰そうか。

定期外範囲だから、改札を出るとお金がかかってしまうから、出来ればホーム内で待ちたい。



しかしこのホームで時間を潰すのは、難しい気がする。



大きな駅ならば、デパートなどと隣接しているから、自由にウィンドウショッピングが出来たり、お洒落なカフェなどでのんびりお茶でも、と言えるけど。

ベンチが上りのホームと下りのホームに1つずつしかない、殺風景にも程がある駅だ。



あたしが乗るのは上りだから、上りのホームにいるけど。

上りのホームのベンチには、先客がいる。

どうやら同じく電車を待っているらしい、帽子を被った人。

…帽子を被っているから、男か女か不明なのだ。



その人は寝っ転がっていて、あたしが座れるスペースなど空いていない。

だからっていちいち、ベンチのためだけに下りのホームへ移動するのは大変だ。



あたしは仕方なく、時刻表にもたれかかった。

そして脳内で、鞄にはいっているものを思い出す。



小説が1冊入っているけど、丁度今日の午後読み終えてしまった。

重たいからって理由で、勉強するための教科書や参考書は学校のロッカーにいれっぱなし。

筆箱はあるけど、筆箱だけで何が出来るんだって話だし。



…ああ。

これほど過去の自分を憎らしく思ったことはない。

何故小説を読み終えてしまったのだ。

全200ページにも及ぶ長編小説を!

もう少しちまちま読めば良かった…。



勉強なんて普段しないけど、あったら暇潰しに使っていたはずだ。

何故重たいからと言う単純な理由で置いてきてしまったんだ。




とことん希望が打ちのめされたっ……ぐは。








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