30分の待ち時間
「はぁ!?
馬鹿にするな!
そんなこと言うのなら、スズも言ってみろよ」
「…ぎ、ギブ アーンド テイク!」
「アンド伸ばしても無駄だし」
「…この際ギブアンドテイクは良いの。
ノッた?太一くん」
「…約束だからな。
言いだしっぺだから、守れよ」
「わかった。約束だからね」
「……ああ」
太一のお兄さんと透子さんの結婚式が行われる東堂ホテルは、かなり大きな有名すぎるホテルだから、降りる駅はわかる。
乗る時と同じく手を引っ張って急いで降りて、東堂ホテルを目指す。
この辺の地理にも詳しくないけど、東堂ホテルは大きいからわかりやすい。
一生入らないであろう大きなホテル内へ足を踏み入れる。
高級そうな真っ赤な絨毯が、フロントらしき場所まで伸びていた。
「ご予約のお客様ですか?」
「違います。
あの、今日ここで、光出雷一と神庭透子が結婚するって…」
「ええ。関係者の方ですか?」
「光出雷一の弟です!」
太一は鞄から、生徒手帳を出して見せていた。
よく見えなかったけど、気にしなかった。