30分の待ち時間








「……兄貴!透子!」




厳かな雰囲気が漂う中、それをぶち壊すような太一の声。

…確かに「頑張れ」とは言ったけどさぁ…。

雰囲気ぶち壊せ、とは言っていないよ?




太一の突然の叫びに、楽しそうに談笑していた人たちが静かになる。

…何をしているんだ、本当に。

雰囲気ぶち壊しって言葉じゃフォロー出来ないかも。




雰囲気破壊した?

…ぐらいしか思い浮かばないけど。

本当太一の声は、ぶっ壊したよねこの空間を。





「…太一!?
お前、今日テスト勉強とかって言っていなかったか?」



スーツを身に纏う新郎・雷一さんが、太一に負けない大きな声を出す。

まぁ雰囲気はすでにぶち壊されているので、別に良いでしょう。




「終わった!
だから急いで兄貴と透子の結婚式見に来た!」




テスト勉強ってのも嘘なのに。

嘘に嘘重ねているよね、コイツは。

バレたら怒られっぞー?




あたしは知-らないっと。








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