30分の待ち時間
学校
次の日。
いつも通り用意して、いつも通り満員電車に揺られ、いつも通り学校へ向かう。
だけど、何だか物足りない。
いつも通りのはずなのに。
何かがない気がして、寂しくなってしまうのはどうしてだろうか?
「おはよう鈴」
机に座ってボーッとしていたら、前の席の葉月が話しかけてきた。
ふわふわと風に揺れる栗色の髪が、やっぱり可愛らしい。
「……おはよう、葉月」
「どうしたの?何か元気ないね。
私で良ければ話聞くよ?」
あたしの自分でも気が付かない異変に、誰よりも早く気が付く。
…やっぱり幼馴染だなって思う。
隠し事が出来ない気がするもの。
「……実はね葉月。
あたし、葉月にずっと隠してきたことあるんだ」
やっぱり言わないと駄目だ。
葉月は海先輩が好きだって言ってくれたんだもの。
あたしは葉月が好き。
…勿論友達として。
だからちゃんと言わないと。
ちゃんと向き合わないと。