30分の待ち時間








「……実は」




あたしは全部葉月に言った。

海先輩が好きだったことも、葉月が海先輩に告白しているのを聞いて、昨日は逃げ帰ったことを。




「えっ!?
鈴も海先輩のこと好きだったの!?」


「ごめん、黙ってて」


「どうして言ってくれなかったの?」


「だって葉月、可愛いでしょ?
その点あたしは可愛くも美人でもないから。

葉月に敵いっこないって、言う前に諦めちゃったんだ。

本当はマネージャーになるのも嫌だった。
あたしは葉月と違って気が利いていないから。

何より、葉月と海先輩が話している姿を見ていたくなかった。

…ごめん、ただの嫉妬なんだ。
ただのちっぽけな嫉妬で、あたしは自分のこと言わなかったの。

……ごめんね、葉月」





葉月はゆっくりと首を振った。





「鈴は悪くないよ。
私こそ気が付けないでごめんね。

嫉妬するのはおあいこだよ鈴。
私だって、鈴に嫉妬していたこと沢山あったんだよ」




葉月が、あたしに嫉妬?

どういうこと?

どうして葉月があたしに嫉妬することなんてあるの?







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